ハノイ ~ ホーチミン : 統一鉄道で行くベトナム縦断の旅
[2012年1月]
ベトナム鉄道旅行の定番でもある、南北線 (通称: 統一鉄道) に乗って、ハノイからホーチミン (サイゴン) まで、ベトナムを縦断します。
夜のハノイ駅。今回は19:00発、栄光のトップナンバー (?) のSE1列車に乗車します。構内は列車を待つ乗客でごった返しています。欧米人のバックパッカーがやたらと目に付きます。
改札が始まり、プラットホームに入ります。SE1列車の牽引機は、中国製のディーゼル機関車D19E形 (後期型) です。
機関車の次位は、食堂車のHC形。
続くのはソフトシート車。4両の連結です。
その次は、ハードベッド車 (3段寝台車)。こちらも4両の連結です。
そして、最上級クラスのソフトベッド車 (2段寝台車)。3両連結されています。やはり外国人旅行客はソフトベッド車に集中するので、ベトナム人の比率は他の車両より低めです。
青、白、赤のトリコロール車両でほぼ統一されていた編成美 (?) を乱しているのは、旅行会社借り上げの特別車両。「リヴィトランス・エクスプレス (Livitrans Express)」とあり、2両連結されています。このような特別車両の多くは、ベトナム北部の観光地サパ (Sa Pa) へ向かうラオカイ (Lào Cai) 線の列車に連結されていますが、少数ながらベトナム中部への観光客向け設定もあるようです (途中で切り離し)。最後尾には乗務員居住区兼電源車のCVPĐ形も連結され、総勢15両の編成です。
今回乗車はソフトベッド車に乗車。質素ながら白い木目調の化粧板を使用して、明るい感じに改装されています。車両によっては未改装のものもあります。ベトナムでは、下段寝台にいると昼間の時間帯に他の人が無理やり座ってきたりして、何かと落ち着かないという話なので、サイゴンに至る長時間乗車に際してはプライベート空間を確保すべく、ここは敢えて上段寝台を選択しています。
サイゴンに向けて、二晩、33時間10分の旅、始まりです。
翌朝、列車はハイヴァン (Hải Vân) 峠を越えている最中です。残念ながら雨模様で雄大な車窓は拝めません。牽引機はD20E形に変わってます。南北線は、北部のハノイ~ドンホイ (Đồng Hới) 間、中部のドンホイ~ジエウチー (Diêu Trì) 間、南部のジエウチー~サイゴン間で管轄が分かれており、多くの場合、その境界駅で機関車が交換されます。更に中部区間の中間地点にあるダナン (Đà Nẵng) でも機関車交換が行われるため、全区間では都合4両の機関車が使用されることになります。
多くの欧米人バックパッカーたちは、既に手前のフエ (Huế) で降りてしまったので、車内はガラガラだったのですが、ダナンで再び大勢の客が乗ってきます。この駅で列車は進行方向が変わります。
食事の時間。以前は運賃に食事代が含まれ、各乗客に食事が配られていたようですが、現在は車内販売制に切り替わっています。朝食は鶏肉入りおかゆ (チャオ・ガー Cháo gà)、昼食と夕食は、大衆食堂 (クアン・コム Quán cơm) と同様の、ご飯の上に好きなおかずを乗せる形式です。注意点は、車内販売のワゴンは各食事時に一回ずつ (片道のみ) しかやってこないこと。運悪くトイレに行っていたりすると、もうアウトです。
おかずを色々迷った挙句、出来上がってみれば彩りがイマイチな内容となってしまった私の昼食。でも味はまずまずです。料金はおかずの数にもよりますが、大体4万ドン (160円) 前後。市中の大衆食堂より少しばかり高めでしょうか。ちなみに、朝食のおかゆは2万ドン。上段寝台にいると、いちいち降りるのが面倒となってしまい、食事を注文するのも食べるのも、寝台から降りずに横着をしてしまいます。下段のベトナム人乗客に笑われてしまいましたが。
寝っぱなしで体も痛くなってきた頃、少しだけ車内を散策。こちらは、非リニューアルのソフトベッド車。ハードベッド車にも同様にリニューアル済みとそうでない車両が混在しており、現在は過渡期にあるようです。個人的要望としては、リニューアル時に寝台のカーテンをつけてくれると大変ありがたいのですが、ベトナムの感覚では必要ない物なのかも知れません。
寝台と違って利用率低調なソフトシート車。短区間利用者の割合が高いため、区間によって乗車率が大きく変動するということなのかもしれません。ソフトシート車は4両連結されていますが、各車の内装は見事にバラバラ。細かいことにこだわらないお国柄が垣間見えます。
二日目の夜に入ろうという頃、クイニョン (Quy Nhơn、現地方言の発音では「ウイニョン」) 方面の支線が分岐する、ジエウチー (現地方言の発音では「イウチー」) に到着。駅構内には売店が多く並んでいますが、乗客のほうも長時間停車する駅をちゃんと心得ており、列車を降りて買い物をする人が目立ちます。
最後にニャチャン (Nha Trang) 駅で多くの乗客の入れ替わりがあった後、列車は深夜の鉄路をラストスパート。終点サイゴンには、約1時間遅れの午前5時に到着です。振り返ってみれば、上段寝台から降りるのが面倒だったため、所要34時間 (遅れ含む) のうち32時間くらいはベッドにこもったままで、なんとなく淡白な旅になってしまいました。列車の中で淡々と時間をすごすだけというのも悪くはない…ということにしておきます。